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今回の楽器。重さにこだわってみた。

第336回 糟谷 伸夫(2026.3.05)

ヴァイオリン製作者は新たに楽器を作り始めるとき、以前作ったものと全く同じ物を作ろうと思う事は少ないのではないかと思います。

 

常に何か解らない中で試行錯誤を続けているような気がします。
製作者同士が集う事があれば盛んに意見交換していますし。
作品への肯定的な意見も否定的な意見も飛び交います。
そこでは、より良くしたいというベクトルは同じで心地よいです。

 

今年も関西弦楽器製作者協会の展示会が近づいてきました。
またクセ強な製作者が集まってくる。楽しみです。

 
 
 

2026年、私の今回出展予定の楽器は重量にこだわって作ってみました。

 

目指すはフィッティング無しの状態で356グラムでしたが、少々軽く354グラム(ニス込み)でした。

 

組み上げる段階で各部とも目指す重量を設定していたのですが、製作手順などの都合で各部の精密な計測はかないませんでした。

 

重量の初期設定は以下の通りでした。

 

横板・ブロック・ライニングで42g
裏板で110g
表板で68g
ネック・指板で136g
トータル356g
です。

 

ボディーは仕込み作業前で222gでした。概ね上記の配分で製作出来たのではないかと思っています。

 

製作者にとっては上記の数字は馴染みの深い数字だと思います。
しかし重さではなく、長さとして頻発する数字としてです。

 

42mmは左右f字孔の距離や指板のカーブなど。
110mmはくびれの幅。
136mmはネックの長さ。
68mmは明確には登場しませんが、駒足からロアープンタまでの水平距離、f字孔の長さなどが近いです。
そして356mmは胴の長さ。

 

これらの数値を昨今隆盛を誇るAIに問うと、黄金比やル・コルビュジェのモデュロールの概念と紐付ける返答が得られます。

 

コルビュジェは心地よい家具や建築のデザインに活かしていたようですが、ヴァイオリンにおいてはデザインのみならずその重量にまでモデュロールのような調和があるのでしょうか。。。

 

今回もコラムを寄稿する機会を得ましてグルグルと考え事をする時間が長くなってしまいました。

理論と実践は技術の両輪ですが、
考えてる暇があるなら手を動かせ!と、そろそろどこからか師匠の声が聞こえてきそうです。