1. ホーム
  2.  > 連載コラム
  3.  > 第236回 鈴木 郁子(2021.11.20)

音楽とともに

第236回 鈴木 郁子(2021.11.20)
鈴木 郁子

 

11月8日(月)〜14日(日) 関西弦楽器製作者協会の秋の完全予約制展示会が行われました。
ご来場いただきました皆様、エールを送ってくださった皆様ありがとうございます。

 

毎年春の入場自由の展示会はCovid-19の影響で2年連続中止となり、今回の展示会は感染症防止対策のため1時間1組「完全予約制」という形をとりました。

じっくりと試奏することが出来てお客様にもご満足いただけたと思います。また私たちもその演奏を聴き、ご意見を頂き、お帰りになった後はお当番の製作者同士で意見交換、そしてそこから自分の音作り方法などの楽器談義。色々と勉強になりました。久しぶりのこの感じ、楽しかったです。ありがとうございました。

この懐かしい感覚・・・

 

私が勉強したイタリアのクレモナは楽器製作の街で小さな街に100名ほどのプロの製作者、そのほかにも国際弦楽器製作学校の生徒などたくさんの楽器製作に携わる人々がいます。

街を歩けば製作者に当たるという感じで、ちょっとお買い物に行っても、お散歩に行っても誰かに出会います。”Ciao! “に始まり、近況、季節の話、様々噂話・・・ 楽器製作のこと、試していること、考えていること・・・ちょっとバールに行こうかとついつい長話になってしまいます。

技術的にわからないことをマエストロのところに自転車で行って教えて頂き、何か道具がない時や買い忘れた樹脂がある時は近所の友人のところに行き借りました。

「ストラドのニスを再現したぞ!」と突然訪ねてくる友人がいたり、昼食のパンの袋を抱えて知人の工房に寄り道してその手元を覗き込みながら世間話していたのだけどいつの間にか楽器談義になったり、その逆もあったり、いつも生活の中で色々なことを学びました。

私は30年近く前に日本に戻ってきました。工房が整わない時期に楽器調整依頼があり荷を解いたのですが、“魂柱立て“が見当たらず、「あっ、こんな時クレモナだったらすぐに借りに行けるのに・・・」と とても寂しい気持ちになったものです。

バイオリン製作学校を始めたのも仲間が欲しいという気持ちからでした。卒業生たちは立派な職人になり、色々と教えてもらい相談できる頼りになる仲間となりました。

 

近年は日本にもいくつかの製作者グループがあり、展示会、勉強会、コンサートなどを開催し情報交換の場が多くなってきたことをとても素敵なことだと思っています。その場で繰り広げられているであろう製作者同士の会話を想像すると とてもわくわくします。

 

Covid-19によって音楽の大切さに気づいた方も多いのではないでしょうか。

 

演奏会の中止、オケ一人一本譜面台、無観客配信、観客数制限、YouTubeなど色々なことを経験しています。

「生音だといいのですがYouTubeだと高音が響き過ぎるのです。音響機材によるのかもしれませんが・・・」というこの時期ならではの楽器の音調整依頼もありました。

 

音楽の裏方の一部を担う者として これからも色々と迷ったり考えたりすることもあることでしょう。音楽に支えてもらいながら日々を過ごすことが出来たらいいなと思います。

May the force be with you.