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理想的な線と面を目指して

第230回 西村 祐司(2021.8.20)
西村 祐司

今年7月、祝日を利用して、美術館へ行ってきました。製作のインスピレーションとまでは及ばないにしても、何かしらの刺激になればと思い、興味ある催しの時には足を運んでいます。

今回行ったのは動物彫刻家として有名なフランソワ・ポンポンの展覧会。下積み時代の人物像から始まり、スケッチやそれに近い動物像、そして評価を得た様々な動物彫刻まで、ポンポンの彫刻家としての歩みがよくわかる展覧会でした。もちろん展示作品も素晴らしかったです。

フランソワ・ポンポンは当初人物像での成功を目指しましたがなかなか売れず、51歳で動物彫刻家として歩み始めます。そして、日の目を見なかったポンポンを一躍有名にしたのが有名な実物大の”シロクマ”で、なんとポンポンが67歳の時だったそうです。勇気づけられます。

今回展示されていた”シロクマ”は小型の”シロクマ”だったわけですが、それでも作品にはまるで生きて歩いているかのような生命感、躍動感があり、しかもシンプルで透明な、凛とした表情が感じられました。

ポンポンの作品のもつ動きの感じられるなめらかで美しい曲線と表面は、バイオリンのフォルム、隆起、アーチ、ニスの質感などにも通じるところがありそうです。無駄のない洗練されたライン、それでいて無機質的ではない生きた質感を持った曲面を目指して、製作に取り組んでいけたらと思います。きっと生き生きとした躍動感あふれるような音を生み出すことにつながるのではと期待して。