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世界埼玉化計画は進行中

第285回 篠崎渡(2024.01.20)

7.5年前に当時話題になりつつあった幻の埼玉dis漫画「翔んで埼玉」を含めて埼玉の話をこの連載コラムに投稿しました。
その後「翔んで埼玉」は映画化され多く方達の支持を得て昨年2023年11月に第2弾映画「翔んで埼玉 ~琵琶湖より愛をこめて~」が公開されました(GACKTさんが帰ってきてくれてほんとによかった!)。
埼玉(の田舎)生まれ埼玉(の田舎)育ちの私としては、埼玉のことをいぢられながらもこの7年半で郷土愛と誇りを新たにした思いです。

埼玉銘菓の一つ「十万石饅頭」は行田生まれ。
今回も映画公開記念パッケージを限定発売
大阪の白い粉は入っておらんけどうまいで、うますぎるで。
田んぼアートと古墳を見に行田タワーにいらっしゃい!

 

関西でそんな埼玉と同じような存在の滋賀県が今回は舞台の中心ということで今回も楽しみに映画館に足を運びました。
「埼玉県民にはそこらへんの草でも食くわせとけ」と言われるよりも「ゲジゲジ*の滋賀県人はそこらへんの害虫でもたべておいたらよろし」なんてセリフ吐かれるほうがキッツイなぁ、なんて思いますが、
滋賀県民のみなさんに映画は大変ウケたときいていますので日本埼玉化計画は今回の映画でかなり前進したようです(笑)

*ゲジゲジはゴキブリやダニを捕食する益虫であることを補足しておきます。

 

熊谷の映画館で販売していたとびだしとび太くんフォルダ買ってしまいました。
滋賀の映画館では限定で色々なグッズを売っていたようで羨ましいです。
一緒に写るのは熊谷銘菓「五家宝(ごかぼう)」。
お茶なし一気喰いは罰ゲームに最適です。

 

「翔んで埼玉」を見て感じたことですが、関心のなかった人たちに存在を意識してもらったり、目立ったものではないけど話題に取り上げて、そうなんだよね~、なんて同じ感覚を笑いと共に共感、再認識できたことが埼玉県民にも滋賀県民にもウケたのではないかと思います。
弦楽器の世界にはかつて(今も?)ヴィオラ奏者をディスりながらも無くてはならない彼らを笑いのネタにしたヴィオラ・ジョークというのがブームになったのでこの手法やエンタメは今後も期待したいです。

 

さて、映画を見終わってふっと思ったことがあります。

「翔んで埼玉」は都会か田舎、あるいは煌びやかなものかそれを支えるものかの差別偏見意識が行き着いた世界観をパロディー化して見せていた感があります。
気づいたら、いや、気づかずに私たちは造られた偏見や差別意識を植えつけられて自分たちの存在価値を過小に評価していることになっているのかもしれない。そして、それは僕たちバイオリン作りの世界にも当てはまるかも、と。

 

日本国内のバイオリン作りは埼玉のようで東京の辺境であり、イタリアやドイツのように伝統的なバイオリン作りの中心と比べたら世界の辺境の田舎かも知れない。でも、自分達のアイデンティティと自信を持って活動を続けていれば共感の輪は広がっていくであろう。

世界埼玉化計画は進行中。

 

自身の工房で埼玉ポーズをとる筆者