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5弦チェロ

第195回 やち 陽子 (2020.2.5)
やち 陽子

ジャズを演奏&作曲される方から
チェロとコントラバスを持替えなしで演奏したいので
C弦の下に低音弦Fがプラスされたチェロ(F C G D A になります)の相談を受けました。

 

 

高音E弦がプラスされたチェロやエレキチェロには5弦の低音F弦がありますが、木で作られたチェロは存在しません。
冒険ですがより深い音を目指し挑戦する事にしました。

 

 

まずは材料選び
クラッシックの演奏からジャズのピッチカート奏法も考慮にいれた材をセレクト、
指板はコントラバス用から削ることに、テルピースはピックアップマイクもいい具合に装着できるようデザインしたものをフィッテングパーツのメーカーに作ってもらいました。
座っての演奏はもちろんですが、立ちながらの演奏にも対応できるようにエンドピンの長さは通常+15cmです。

そして一番の難関は弦でした。
弦メーカー数社に相談したところイタリアのメーカーが手巻きでF弦を作ってくれるとの事、当初2か月で納品予定でした。。。
しかーし、3か月待てど暮らせど弦は届かず、再三のメールと電話もなしのつぶて
諦めて分数コントラバスやエレキベースの弦も試ましたが思うような結果が得られず
ホトホト困り果てた時に「今から巻くから明後日持っていくよ!」と奇跡のような電話。
「えっ、しかもそんなはよできるんかい!(と心の中でツッコミ)」
イタリアの手仕事、納期は延びに延びますが本気になればあっという間にいい仕事してくれます。

 

 

そして出来上がった5弦チェロ
音出しにはクレモナの興味津々な職人たちもやって来ました。
皆で考察してみると
F弦が増えた事により共鳴弦が増え響きが豊かです。
そして今までチェロにつきものだった ウルフトーン(E~F#に出ます)の“うなり”までも共鳴させ声に昇華させるのでした。
(注:完全にはなくなっておりません)
そう、チェロの世界地図を完成させるにはF弦の存在が必要だったのです。
こちらの作品は今年の展示会(4/29,30)に出展予定です。5弦チェロをぜひご試奏&実感して下さい。