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以前のような日常を

第215回 前田 壮学(2020.12.20)

早いものでもう今年もあとわずか、ここ最近1年という長さが短く感じておりますが今年は特に感じてしまいます。新型コロナウィルスによる自粛期間が2か月ほどあり、気分的にはまだ10月のようです。
私は今年度より地元のアマチュア弦楽合奏団の団長を務め始めました、まさか1年目にこんな状況になるとは思ってもみませんでした。

4月に緊急事態宣言が発令され、それに伴い施設の利用やイベントが中止になりました。この間に各地で活動している合奏団体は今年度の計画の変更を余儀なくされ、演奏会の延期または中止の判断をされたと思います。所属している団も自粛期間が明けるまで休止となり、毎年秋頃に開催している定期演奏会も年明けの1月下旬に延期いたしました。
5月下旬に緊急事態解除宣言が発令され、これで感染防止対策を実施たうえで施設の利用が可能となり練習も再開することができました。そして音楽業界のほうでも公演再開・継続を目指し、飛沫感染リスク検証実験等を重ねて客席や演者間の「ソーシャルディスタンス」などの結果が公表され、ドイツやウィーンでも6月頃に検証実験は行われました。秋になるころには少しずつですが演奏会が実施されるようになり、ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団が11月に来日公演を果たしたというニュースを見て、以前のような日常が戻ってきてくれるかなと期待しました。

残念ながら昨今の状況をみるとなかなかその期待通りとはならず、まだまだ油断できない状態が続きそうです。私は弦楽器を製作・修理すること、演奏会を聴きに行くこと、演奏することも大好きです。延期している演奏会も開催できるかはわかりませんが、開催したい気持ちは捨てきれずにおります。来年はこの困難な状況を乗り越えられるよう切に願っています。
そういえば来年は私がこの弦楽器製作の道へ踏み出して20年が経ちます。この連載コラムの10/20に掲載された、私にとって父以外で弦楽器製作のことを初めてご指導していただいた師である岩井孝夫先生のコラムに触れられている製作学校の写真が懐かしいです。あの頃よりは少しは成長したかな、体型は成長したなとすぐ実感できましたが。