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私の木工歴

第222回 細野 正洋(2021.4.20)
細野 正洋

木工は、のこぎりとカンナがあれば一応取り掛かることができ、仕上げにこだわらなければ身の回りの便利グッズを作って楽しむことができます。

そのうち、仕上げにこだわるようになり、新しい道具(のみ、彫刻刀、電動工具など)を使って、正確で見栄えのする仕上げを目指すようになりました。当然刃物の研ぎや、工具の調整・メンテナンスも必要になり、だんだん深入りすることに。

製作したものは、気に入った欧米アンティーク家具のコピー、ヨットやカヤック、電子オルガン、子供のおもちゃ、額、下駄箱やベランダや玄関扉、、、木で作れるものなら何でも、、、

最後に偶然出会ったのが、ヴァイオリン!

これはそれまでのように一筋縄では無理。

精緻な局面を仕上げるためには、今までの工具では対応できず、細かな作業に向いたカンナ・彫刻刀・治具が必要になり、自分で使い易いものを必要に応じて制作。(今は市販のものが出回っていますが、昔の人は自分で工夫製作していたことを思い、あくまで自作にこだわり)

目指すのは音色。これはそれまでの私の木工世界にはなかった領域で、ゼロから勉強しなければならず、アメリカのヴァイオリン製作者協会や弦楽器音響学会に入会し、会報のバックナンバーの参考になりそうなものを取り寄せた。(当時、インターネットは普及しておらず、情報は紙物のみであり、必要な情報がどこで手に入るかを知ることさえ難しかった)

この後は経験。同じように製作しても、なにしろ材料は自然の木、見栄えは同じようにできても完成したヴァイオリンの音色は微妙に違った個性を持っている。また木の経時変化と弾き込むことによって響きも変わってくる。

楽器の製作工程の複雑さから、製作者個人、又は工房の製作方法の暗黙のルールがあり、製作される楽器には製作者の個性が出るようです。

木工の世界で、ヴァイオリンのような楽器製作は奥が深く、いつまでたっても試行錯誤です。