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虫が多い季節になりました

第224回 山根 洋美(2021.5.20)

皆様、こんにちは。4回目のコラムになります。

最近は気温も上がり、色々な虫を目にする機会が増えました。
ある日、私が部屋で過ごしていた時に、子供に「何かの虫がいる。」と言われました。
まだら模様の小さな甲虫で、調べてみるとヒメマルカツオブシムシの成虫でした。

ヒメマルカツオブシムシは幼虫の時は体長4~5㎜位で、全体的に毛が生えていて尾に少し長めの毛の束があります。鰹節や煮干し、羊毛や絹の衣服、毛皮などを食害します。
長期間開けなかった楽器ケースの中で、弓の馬毛を食べてバラバラにしている事があるので、ご存知の方もおられるかも知れません。

成虫になると体長2.5~3㎜位で、花の蜜や花粉を食べるそうです。特にキク科の白っぽい花を好み、白っぽい洗濯物にも集まって来やすいとのこと。

そう言えば、我が家の洗濯物干し場の下の花壇には、キク科らしき白い花がたくさん咲いていますし、この間シーツやシャツ等の白い洗濯物を多く干していました。

この時期(4月下旬~5月頃)はヒメマルカツオブシムシが活発に飛び回っているので、皆様も外干しの洗濯物を取り込まれる際、一緒に室内へ入れてしまわないようお気をつけください。

さて、今回のこのコラムを書くにあたり、色々とインターネットで虫について調べていた折に、私の約2年間にわたる悩みが1つ解決しました。

2年程前の8月下旬、家人が親戚の家の片付けを頼まれました。
その場でゴミの分別をすることに疲れた家人は、出たゴミをゴミ袋に入れて車で自宅に持ち帰りました。そして工房の隣の部屋(コンクリート打ちっ放しの倉庫)に運び込んだまま、1週間程忘れていたようです。

お盆が過ぎ、私は数日振りに作業をしようと工房の扉を開けて、大変驚きました。
隣の倉庫とつながる扉付近から、怪しげな小さな虫が大量に(数百匹くらい?)入り込んでおり、
工房全体にワラワラと拡がっていました。中には飛んでいる個体もいました。

とりあえず駆除していき発生元を突き止めると、件のゴミ袋でした。
その中にはかなり古い桐箱入りそうめん等が入っており、袋の下には米ぬか入りの袋もありました。そうめんの箱と中のそうめんは穴だらけでボロボロになり、米ぬか内にも数百匹、ゴミ袋周りや扉の隙間にも大量の虫が発生していました。

対策を考える為に何の虫か調べてみましたが、桐箱に穴を開けている事、体長5㎜程、茶~焦茶色で細長い見た目から、その時はヒラタキクイムシではないかと考えました。
それ以後今まで工房全体や材木のチェック、月1回のバルサン、隣の倉庫からの侵入を防ぐ事
(パテ埋め、目張り等)に気をつけて日々を送っています。幸い今まで楽器用材木に虫の被害は出ていません。

そして今回の事に繋がるのですが、ヒメマルカツオブシムシについて調べている途中で、気になる虫のことを知りました。

コクヌストモドキという虫です。

ヒラタキクイムシとコクヌストモドキは、見た目がよく似ています。(ヒラタコクヌストモドキという虫も似ていますが、こちらは飛翔力が無いそうです。)
コクヌストモドキは穀類の粉等を食害する害虫なので、虫の大量発生時にゴミ袋のそうめんか、その下にあった米ぬかから発生した可能性があります。

今回この2種類の虫の分かりやすい判別法を知りました。

複眼の位置でも分かるそうですが、触角の先端の膨らみがヒラタキクイムシは2節、コクヌストモドキは3節太いということです。
早速観察してみました。(発生時の虫をサンプルとして残していました。)

(1円玉とサンプルとして残していた虫)

 

虫自体が小さく、その触角は虫眼鏡でもよく確認出来ませんでしたが、たまたま子供が持っていたおもちゃのマイクロスコープで見ることが出来ました。

(おもちゃのマイクロスコープ)

 

(サンプルの虫をマイクロスコープで見たものをスマートフォンのカメラで撮影して拡大した写真)

 

確かに先端の3節が太いので、コクヌストモドキのようです。他のサンプルも同様な触角が確認できました。

コクヌストモドキもヒラタキクイムシも害虫には変わりないのですが、木でものを作る人間からすると、前者であってくれて良かったです。

しかし 引き続き防虫には気をつけていこうと思います。

新型コロナウイルス感染拡大の一日も早い終息を願っております。

今回のコラムの作成にあたって、以下のホームページを参考にさせて頂きました。

・環境コントロールセンターホームページ 害虫情報サイト
・イカリ消毒 害虫と商品の情報サイト
・農研機構 食品研究部門 食品害虫サイト
・アース製薬ホームページ 害虫なるほど知恵袋
・一条工務店 i-smartで建てるスマートハウス!
 [必読:でも閲覧注意]ヒラタキクイムシの被害の現状と対策・対