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オーダーメイドバイオリンが好調

第270回 池渕 考介 (2023.6.05)

コロナ禍も終わり様々なイベントが復活する今日この頃、いかがお過ごしでしょうか?
ここ数年貯まりに溜まった自粛への不満からもようやく脱出できてきたかと思います。
とは言え、恐らくコロナ前からほとんど工房から出ないほぼ引きこもり状態の私にはあまりコロナは関係なかった気もします。

さて、先日行われた関西弦楽器製作者協会の展示会ですが、残念ながら私は参加することができませんでした。
理由は、慢性的な在庫不足です。
当工房はオーダーメイドバイオリン専門ですので、基本的に製作した楽器はそのままお客様のもとへすぐお渡しすることになるため、常に在庫がない状態となっています。
バイオリンはもちろん、ヴィオラやチェロも作る傍ら、修理や毛替えのお客様の対応とグッズ製作と、とても忙しい日々を送っております。
オーダーメイド製作と言うのは実に不思議なもので、通常の考え方ですと、楽器を弾いてみて音の良し悪しで選ばれるお客様がほとんどだと思います。
しかしオーダーメイドの場合、音を全く聴かずにご注文頂く形式のため、完成するまで良し悪しは分かりません。
逆にオーダーメイドの利点ですが、ネックの太さやニスの色、装飾などお客様が自由に指定できることや、製作過程をお客様に見て頂けると言うポイントがあります。
現在、当工房のオーダーメイド楽器は順番待ちになっているほど好調となっています。
どこの誰が作ったか分からないバイオリンより、個人製作者がお客様のために作るバイオリンの方がいいと考える方も実は少なくなかったと言うことですね。

とは言え、私も関西弦楽器製作者協会の会員として、来年こそは展示会用のバイオリンが製作できればと考えております。
クレモナにもそのうち行きたいなあ。