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モールド(内型・外型)なしのバイオリン製作

第165回 田中 和彦 (2018.09.20)
田中 和彦

 今回は、MOULDを使わないバイオリンの製作方法について書きます。
昔のイギリスの製作者は、MOULDの存在を知らなかった様です

 {まず、輪郭のデザインを決め、多分それをカートリッジ・パターンを用いて、裏板の楓の板と表板の松の板の上にそれを当てて輪郭を巡って、糸鋸で大まかにそれを切り出して胴のモデルを作ってから、輪郭のカーブを最終的に修正して、裏板を正しい厚さに削り出し、成形した六個のブロックを裏板のそれぞれの正しい位置にきちんと接着して、これが乾いてから、これに合わせてリブを曲げて当てるというやり方で、これは型枠というものを全く用いないで胴を組み立てる方法である。明らかに、この方法は大変難しく、特にリブが狂わないようにして仕事を進めるのが難しいが、昔のイギリスの製作者は皆、この方法で胴を組み立てていたのである。(イギリスの製作者は、型枠というものを知らなかったと我々は考えている。)[アントニオ・ストラディヴァリ その生涯と作品  ヒル著 野田彰訳  弦楽器ディオ発行] より抜粋}

 Walter H Maysonの VIOLIN MAKINGにもこのやり方での記述があります。 実際、修理の仕事をしていると、横板の交換やブロック作成等、これに準じた作業を行う事もあり今回は、型枠なしで製作してみました。私なりに作業工程を考えました。

 表板・裏板の形に切り出したら、横板を曲げ、まず、センター部分にコーナーブロックを接着します。乾いてからアッパーとロウアーのコーナーを成形し、バウツを接着します。(この作業、ブロックをきちんと直角に作る事が重要です。)
裏板に上下ブロックを直角を確かめて接着、それからコーナーブロックを接着します。この段階ではアッパー・ロウアーの横板は長いままです。横板の高さも高めにしてあります。
 表板を当ててみて横板のラインが合っているか確認して、エッジのオーバーハングを整えながら横板にブロックのセンター接ぎのラインをひきます。
バイスに挟んで当て木をして、ライン通りに切り鉋を掛けます。接着すればブロックと横板の完成です。
 あとは、裏板、表板が型枠代わりになり固定出来ますので、横板の高さを削り出し、ライニングを接着していく普通の製作方法と同じやり方です。
コピー楽器を作る時、表と裏の型がピッタリ合っていない様な場合は有効な作り方だと思います。
どうしても、文章にすると簡略なものになってしまいますね(>_<)

 

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2019年5月2日(木)~3日(金)です