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展示会のススメ

第93回 平塚 謙一(2015.04.20)
平塚 謙一

どうもこんにちは、新入会員の平塚です。

先ずは自己紹介から書きたいところですが…
僕は中学校もろくに行かず、16歳から現場仕事をしていたような頭の悪い人間でして、特に自慢できることも無く。
展示会が終わったばかりのタイミングにこんな僕の半生を語るのも申し訳ないので、もっと楽しい楽器のお話をしたいと思いますっ。

僕は楽器を作っているうちに、高価なオールド楽器よりも新作楽器の方が好きになっていきました。
楽器そのものよりも、作っている人に興味が湧いてきたからかもしれない。

楽器製作は奥深く、今もなお謎だらけ。そんな中銘器や巨匠に負けじと日々研究し、腕を磨き、試行錯誤を繰り返しながら必死の思いで新しい楽器を生み出しているのだ。
誰の楽器が良いのかは人それぞれだとは思うし、そんな事には興味はないけど、より良いモノを作り出そうとする一途で熱い思い、健全な精神、僕は楽器製作をしている人のそんな部分が好きなのだ。

だから製作者や楽器が沢山集まる展示会が大好きだ。

中央公会堂での展示会は今回始めての参加だったのですが、製作者もお客さんもどことなく関西っぽくてお話好きで、参加していて本当に楽しい展示会でした。
より良い楽器を作るためにもこうした製作者や奏者との交流が何より勉強できる機会でもありますので、本当に有難い場所だなと感じた次第であります。

展示会といえば…
3年前、アメリカの展示会で僕は面白い楽器と出会った。

日本ではなかなか見ることの出来ない著名な製作者の作品に混じり、バルサ材で作られた奇抜なデザインのバイオリンが展示してあったのです。

材料代は15ドル。外見も適当で落書きみたいな塗装だ。
なんだ?こんなもの。アマチュアの工作か?と、僕は思ってしまった。

ところがどっこい、音を出してみると音色も音量も驚くほど素晴らしい音がした。

「100年以上古い材で作った」「数々のゴールドメダル」…等の売り文句が並ぶ楽器の中で、こんなバルサの怪しいバイオリンが一番良いバイオリンに思えてしまったのだ。冗談抜きに本当に驚いた。

残念ながらバルサのバイオリンはバイオリンでは非ず、すぐ壊れそうだし、どんな良い音がしてもバイオリンとしての価値など無いだろう。
だけど、外見からは想像できないこの楽器の音は素晴らしかった。僕の理想とする音そのものだった。

僕がこんな事を書いてもその時の音は伝えられないし、誰もこんな話信じてくれないかもしれない。僕だって実際に展示会でその楽器を手にしなければ話半分で聞くだろう。

自分自身がそんな経験をしてしまうと、展示会のススメを語らずにはいられなくなります。
展示会って本当に面白い。楽器が好きなら仕事をサボってでも行くべきだ。(力説!)

情報を手軽に入手できる今の時代。
情報だけを知って知った気になる人も居るだろうし、わざわざ足を運んでまで似たような楽器を見に行こうと思う人は少ないかもですが、もしかしたら価値観ひっくり返るような出会いがあるかもしれませんよ?。何より、一人でも多くの方に作った楽器を手にしてもらいたいというのは製作者皆の願いでも御座いますし、作品に込められた熱い思いも感じて欲しい。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会、いつかはわかりませんが…春頃?。
また新しい楽器を用意してお待ちしております!

次回は5月5日更新予定です。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2018年4月22日(日)です