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セロ弾きのゴーシュ

第82回 鈴木 郁子(2014.10.20)

小さいときから生き物好きで、蟻、オタマジャクシ→カエル、ザリガニ、いも虫→蝶、鈴虫、カブトムシ、クワガタ、金魚、文鳥、プラナリア、ハムスター、猫、犬などなど、たくさんの生き物と接してきた。そしてお気に入りの絵本のなかに「セロ弾きのゴーシュ」があった。最近、そろそろ老後の楽しみのためにも楽器演奏をレッスンから受け直して、“身体に負担のない構え方”からきちんと見直したいなと思っているところもあり、はてはて?登場する動物たちはそれぞれ、何をどのような方法でゴーシュに伝え、彼を上達させたのかしら?と思い、読み直してみた。

ふ~ん、なるほどね… 
でもゴーシュはどうして最後、空にむかって “すまなかった”とかっこうさんにはつぶやき、猫さんには何も言わなかったのかしら…

< 私の場合> 一部ではありますが…
白文鳥の“ぴー太”は美しい声で時にはステキなメロディーをつけて歌ってくれた。そのメロディーは今でも私のなかには生きている。彼を肩に乗せ、満身の笑みの私がいる。
柴犬の“健ちゃん”は私がバイオリンを弾き始めると、ちょっとコマッた顔をして私を見つめ、しばらくするとクンクンと鼻をならし、扉をばりばりと擦り、外に出してほしいとねだった。
通学路の段ボールの中で発見した生後間もない目も開かない捨て犬5匹は、残念ながら数日後に亡くなった。まだ、段ボールに入れられた捨て犬や捨て猫が街にいる時代だっだと今さらながら思う。最近はいませんね。
三毛猫“にゃっち”は部屋を走り回った。
生後2ヶ月くらいの子犬は一週間くらいで里親が見つかった。そのコが引き取られていく日の朝、登校前に父が撮った写真にはその子犬を抱き、目をまっ赤にして怖い顔をしている私がいる。
とら猫“だいちゃん”は楽器に無関心だった。夜中に友達を私の寝室に連れて来てくれた。
黒猫“ごろさん”は、私が弾いていると自ら部屋に入ってきた。そしてしばらくすると、私の足を踏んづけてから部屋を出て行った。

今同居中の猫“ふく”は、弓の動きに夢中で、獲物を狙うべく身を屈めお尻をフリフリしはじめるので、彼の前で弦楽器を弾くのは危ない。
一緒に過ごした生き物は数しれない。もっとこうしてあげればよかった…と反省沢山である。私はみんなに心から感謝している。 
みんなは、私に何を伝えたいのかしら?

次回は11月5日更新予定です。