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競売の思い出

第78回 杉本 有三(2014.08.20)

90年代半ば会社の営業マンと弥次喜多的ノリで幾度と英国買付出張に出向きました。

当時のオークションカタログより当時のオークションカタログより

その時の思い出は…健康的で即出荷できる楽器を競り落とす営業マンと 割れや剥がれ虫喰いの楽器を競り落とす私との間に かなりの立場、見解の違いを感じたものでした。本人の作品じゃない attribute記載の楽器が競り合いで本物価格で落札されたり(きっと本人作だったのでしょう!) 、モラッシーやG.スコラーリのマエストロの若き日の作品に触れ合えたり、プレッセンダVnが落札予想2千万円をはるかに越え外人バイヤー2人の競り合いの末 3千万円で落札し会場から万来の拍手喝采がおこったりと振り返れば貴重な現場体験をさせてもらいました。

そんな中、サザビース会場前で顔見知りの日本人に「ヨォ!」と声掛けられました。その御人はあいさつもそこそこに忙しそうに街中へ消えて行きました。
その夜、とあるホテルの一室で行商する個人ディーラーの部屋を訪ねるとどうやらその御人は私より一足早くこの部屋を訪ねたらしく目ぼしい楽器には手をつけていて指板を見るとそこにはすでに鉛筆でマーキングがしてありました。その御人とは現在も大阪市内で弦楽器工房を構える社長さんでしたwww

専門家たちは競売が開催される会場の外でもしのぎを削ってよい楽器を探しているのを痛感した思い出です。

 

次回は9月5日更新予定です。