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材料について

第53回 猪子 宏明(2013.08.05)
猪子 宏明

バイオリンやチェロを作るには主に2種類の木が使われます。表板は唐檜(スプルース)、裏板 横板 棹 は楓が使われている物が多いです。楓の代わりにポプラを使った物や日本の古い楽器にはトチの木を使ったものなども見ることがあります。

表板になるスプルース材。柾目に丸太を割って製材したもの。表板になるスプルース材。柾目に丸太を割って製材したもの。

ここで少しスプルースと楓の製材の話です。

丸太から材料をカットするとき年輪に平行にカットする板目材と、みかんの房の様に年輪の中心から放射状にカットする柾目材があります。表板は普通柾目材を使い、カットの仕方はナタなどで割って作る割り材と鋸で製材する鋸引材に分かれます。

裏板になる楓材。どちらの柾目にカットされたものです。裏板になる楓材。どちらの柾目にカットされたものです。

裏板は普通は鋸引き材です。丸太の切り方によって板目材と柾目材では、楓材に見られる模様、杢(もく)といいます、の出方が変わります。バイオリンに使われる楓の種類ではトラ杢と呼ばれる縞模様の杢があらわれます。丸太の切り方によって杢だけでなく年輪の出方も違うので、裏板から楽器をいろいろ見比べると面白いです。

板目に製材された楓材。左側はバーズアイ、右側はトラ杢の楓。板目に製材された楓材。左側はバーズアイ、右側はトラ杢の楓。

少し特殊な楓としてはバーズアイ(鳥目楓)と言われる種類の楓があります。この楓材の杢は板目材に切った時に鳥の目のような模様が見られます。

楽器が出来上がる迄には、スプルースや楓以外にもいろんな材料が使われています。
ペグやテールピース、顎当てなどの部品には黒檀 ローズウッド 柘植などの木がよく用いられます。古楽器の装飾によく使われていた象牙や最近は弓の材料のペルナンブーコなども良く見ます。ニスの染料になる材料の木材も含めると結構な種類の素材が必要になります。

原産国も世界中に広がり、物流の発達した現代ならまだしも何百年も前だと、それは貴重な品々だったことでしょう。

次回は8月20日更新予定です。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2018年4月22日(日)です