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バイオリン作りのとある一日

第12回 鈴木 公志(2011.07.20)
鈴木 公志

バイオリン製作者・・・なんて聞くと「来る日も来る日もバイオリンばかり作っている人」なんてイメージでしょうか。
まぁ間違いではないですが、バイオリン以外も作ります、修理もします、こうやってコラムの原稿書いたりもします。
それに生活のスタイルも個人経営か、お店で働いているのかなどでも変わってくるので、ますます普段何をしているのか謎ですね。
そこで今回は、僕の1日の流れに沿ってバイオリン製作者の典型的(?)な日常をのぞき見て下さい。

 

7:00
起床・・・は妻のみ。僕起きられず・・・

7:45
妻が仕事へ。ようやくゴソゴソ起き始めます。ちなみに妻も同業者。Francesco Totoさんという製作者の下で働いています。
一方僕の方はというと、家の作業場で一人で働いています。先ほどちょっと触れた営業形態の違いってやつですね。

8:30  
仕事に取り掛かります。

古い楽器の修理中古い楽器の修理中

10:30  
暑い・・・あつすぎる・・・僕の仕事場は居住空間とは別れています。そこはいわゆる屋根裏部屋って感じで、夏暑く、冬寒い季節の移り変わりに正直な場所なのでした。という訳で・・・

鰻の寝床、暑い・・・鰻の寝床、暑い・・・

10:45
友人の工房着
暑くて仕事にならないので友人の弓製作者Arturo Ponceの所に遊びに来ました。
実は彼に、僕が自分で弾く用の弓を注文しているので、その途中経過を拝見に。
バイオリン製作者の中には自分で弓を作る方もいます。
僕は弓を作らないので、アルトゥーロにわがままなオーダーをだして、僕の好みの弓を作ってもらっているのでした。出来上がりが楽しみです。
で、そのままコーヒーなど飲みに行きつつ・・・

アルトゥーロアルトゥーロ

11:30
家に帰ってきて仕事再開。

12:30
妻帰宅。おっと、もう12時過ぎですね。
イタリアではお昼休みが2時間ほどあるので、家に食事に帰る人も多くいます。
お昼を食べた後は、暑さ対策として(冬でもそうですが・・)仮眠を取ります。

15:00
はっ!寝過ごした!妻はもう仕事に行っててもういない!
僕も仕事せねば・・・

17:00
暑い・・・あつ(以下略)
そういえば支払いがあったので郵便局にいかねば。と言い訳しつつ外へ。
用事が済むと資料探し、という名目で本屋さんをひやかしに。

18:00
近所の飲み屋が開いた時間なので、食前酒を引っ掛けにいかねばなりません。
と、そこにアルトゥーロが!って実は午前中から約束してたんですけどね。

口開けです口開けです

19:15
妻仕事終わり。合流。
ちなみに曜日によってはこの時間帯はチェロのレッスンだったり、運動しに行ったりと、習い事タイムだったりします。

20:00
帰宅 あとは夕食などで1日が終わっていきます。就寝は23時位ですかね。

夜8時過ぎでもこの明るさ夜8時過ぎでもこの明るさ

って、あれ? 5時間くらいしか働いてない!
・・・まぁこういう日もあります。
そもそもまじめに働いてる日だと
起床→仕事→昼食→仕事→夕食→仕事→就寝
と一行で終わってコラムにならないじゃないですか。

 

いかがでしたか? バイオリン製作者の一日は?
ここまで読んで頂いてもうお気付きかもしれませんが、これが典型的な例ではないですね、きっと(いまさら)。
結局始めに言ったように、楽器製作者は個々人の差が大きすぎて一概に括りづらいです。
楽器製作を一日中やっている人、製作を教えながら作っている人、修理や調整をやりながら作っている人、様々なスタイルがあります。
でもその様々な経験の違いが個々の製作者の味となり、楽器の個性になっていくのではないでしょうか。
たくさんの製作者がいてはじめて様々な個性の楽器が選べる幸せというのがあるのかもしれません。
だからこんな僕でも製作者としての存在意義があると信じつつ、自分を励ましつつ、今日も明日も楽器を作っているのでした。
ちなみに他の日はもうちょっと働いてます。
これを見て「楽そうだから楽器作りになる」なんて言われても・・僕は責任を負いかねますのであしからず。

次回は8月5日更新予定です。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2018年4月22日(日)です