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弓のバランス

第6回 河辺 恵一(2011.04.20)
河辺 恵一

今回は私、河辺が弓についてお話をさせていただきます。

楽器と弓、共に長い時間の中で多くの改良が重ねられて現代に至っているのですが、弓も200年ほど前には、その殆どの作りが現在と同じ様に完成されています。 現代では当たり前の様に使える電動工具の無い時代ですから、それを思うと素晴らしいことです! まさにオールハンドメイドの時代です。

弓の材料・ヘルナンブコ この角材から弓のスティックを削り出します。弓の材料・ヘルナンブコ この角材から弓のスティックを削り出します。

弓はとてもシンプルな構成で出来上っています。 5つ程の作業でほぼバラバラになってしまいます。
スティック、フロッグ、バトン、馬毛、大まかに分けてこれだけで組み立てられています。

しかし弓の製作段階では、木材と金属や貝などの性質の異なるものに対しての細かな作業がたくさんありますので、この細かさと正確さの両面を楽しくコントロールできないと、とてもオールオリジナルの弓を作る気にはなれないかも知れません。 正直、とても面倒くさいです(笑)。

バトン・仕上げ前 このあと8角形に削り出します。バトン・仕上げ前 このあと8角形に削り出します。

ところで、皆さんは「弓のバランス」については、どの様に考え、お感じになっているのでしょうか?
弓によっての違いは、実際に弓を持ってお感じになったことがあると思います。

それでは、ちょっと面白い実験をしてみましょう!

① 先ず、いつもの様に弓を持ってみてください。 横にです。 まだ馬毛は弛めたままで水平に持ちます。
当然 重さを感じます。 いつもの感じです。

② 次に、右手で弓を持ったままで、左手でスクリューを回して弓の馬毛を張ってみてください。
(ちょっとやりにくいですが、) そうすると弓全体に張力が発生します。

すると、先程まで馬毛を張らずに持っていた時とは違った感覚を右手で感じられます。(おわかりになりますか?)

どの様な感じですか?

少し弓が軽くなったような感じですか?
弓先が引っ張られているような感じですか?
親指で支えている辺に重さが乗ってきたような感じですか?
重心のバランスの位置が移動した感じですか?

ヘルナンブコ・削りくずヘルナンブコ・削りくず

これらは全て、馬毛が引っ張られて弓に発生している張力によるものです。
この感覚は弓によっても異なりますので、全ての弓が同じように感じられるものではありません。

ヘルナンブコ・色 水分を含ませると赤紫色が出ます。 草木染めの染料にもなります。ヘルナンブコ・色 水分を含ませると赤紫色が出ます。 草木染めの染料にもなります。

弓のバランスについては、人が指先や手の感覚で感じてゆくものなので、弓によっても、人によっても異なりますから、「こうでなければいけない」 と言うものでもありません。

使う人によっても、弓の状態によっても、弓の持ち方によっても、弾き方によっても感じ方は変わります。
重さや重心の位置と言った決まった数字で測れることだけでもないのですね。

まさに音色のように十人十色。 自分流の感じ方と使い方があって当然なのです。

改めて 「弓って不思議なものだな」 と思いませんか? 何だか とても人間的に感じます。

あなたにとっての 「弓のバランスとは」 どの様な感じですか?
皆様からの 「自分流の弓のこだわり」 や 「弓のバランス」 についてのご意見もどうぞお寄せください。
これからの弓作りにも参考にさせて頂きたいと思います。

次回は5月5日更新予定です。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2018年4月22日(日)です