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ヴァイオリンの奇跡

第4回 やち 陽子(2011.03.20)

驚きました、60個!!
何の数だと思われますか?なんと、なんとヴァイオリンのパーツの数なのです。
みなさん、こんにちは!今回コラムを担当します、やち 陽子です。
私達が、切磋琢磨して製作しているヴァイオリン、いったい幾つのパーツから出来ているのでしょうか?今回、パーツの数を数えてみたいと思います。以下、数は《 》に記載します。

まず、普段は目にすることがない、ヴァイオリンの内側を見てみましょう。
写真①をご覧下さい。ブロックが上下と左側コーナーに2つ、右側コーナーに2つ《 6 》あります。その上に鉄ごてで曲げた横板《 6 》がブロックとブロックの間に接着されます。そして横板の内側上下をライニング(細い1cm幅の帯)《 12 》が横板一枚につき2本で補強しています。

写真①写真①

表板《 2 》と裏板《 2 》はそれぞれ一枚板を使う場合もありますが、通常2枚の板の面を張り合わせます。表板は針葉樹のスプルース、裏板は広葉樹のカエデを使用します。
写真②をご覧下さい。表板の内側にバスバー(または力木)《 1 》が接着されます。これは表板と同じスプルース材を使います。

写真②写真②

そして、表板の振動を裏板に伝える重要な働きをする魂柱《 1 》が立っています。こちらも表板と同じ材料です。これでヴァイオリンの内側のパーツはすべて数えました。ただいま30パーツです。
 次にヴァイオリンの外側を見てみましょう。写真③をご覧下さい。
楽器の周りを縁取っている黒い線はパフリングというもので、輪郭に沿って溝を掘り、表・裏板ともに6本ずつ、黒白黒と3枚の薄板を張り合わせたものを埋め込みます《 12 》これは装飾的な役割と板の割れを防ぐ働きをしています。

写真③写真③

次に写真④をご覧下さい。渦巻きが愛らしいネック《 1 》これは、裏板と同じ材料を使用します。そしてペグ(または糸巻き)《 4 》、黒檀で作られた指板の上のナット(または上駒)《 1 》と指板《 1 》があります。

写真④写真④

順に下に降りてくると、駒《 1 》があり、テルピース《 1 》そしてヴァイオリンでしたら、E線にアジャスター《 1 》がついていますね。
テルピースの下からは、テールガット《 1 》がナット(または下駒)《 1 》をまたいでボタン《 1 》で止まっています。そしてアゴ当て《 1 》があります。あとは弦《 4 》を張ったら出来上がりです。
どうでしたか?60個ものパーツが創意工夫されヴァイオリンの哀愁をおびた魅力的な音を作りだしているのです。

次回は4月5日更新予定です。