1. ホーム
  2.  > 連載コラム
  3.  > 第146回 高橋 明(2017.10.20)

私のネックの作り方

第146回 高橋 明(2017.10.20)
高橋 明

 

みなさんこんにちは、クレモナの高橋明です。

今回は、ヴァイオリンのネックを作るときに私が使っている方法をご紹介します。

今回も少しマニアックな話題になってしまって、製作者仲間ならまだしも、一般の方にはあまりご興味のない話になってしまうでしょうが、こんなこだわりで楽器を作っている人もいるということだけでも知っていただければ幸いです。

ヴァイオリンに限らず弦楽器のネックの部分は、非常に単純な構造にも関わらず、頭部(スクロール部分)とボタン部(胴体に差し込まれている部分)に挟まれていて、へこんでいる部分なので、目標としている形状に正しく成形するのが難しい部分です。
多くの製作者は、主要な寸法をもとに主に手の感覚で仕上げていきますが、私はうまくできなかったため、以下のように少し手の込んだ方法でネックを成形しております。
(もちろん、手の感覚だけできっちり作れるのならば問題ないのですが・・・)

まず、ネックの直線部分の上端と下端の厚み(指板込み)を水平に最終の寸法まで削り、その間を両側面にて直線でつなぎます(写真1)
写真は、直線の外側を平面に削るための面取りをしたところ。

写真1写真1

その直線から外の部分が平面になるように削ります。(写真2)

写真2写真2

この平面の中心線上は、すでに最終寸法(厚み)になっています。

次に、第一の面取りをするための線を描き、上端・下端を切りかきます。(写真3)

写真3写真3

その上下の線を直線になるように削って平面を作り、第一の面取りが完成です。(写真4)

写真4写真4

平面が直線になっているかを常にチェックします。(写真5)

写真5写真5

この第一面取りの中心線も、すでに最終寸法になっているわけです。

このあと、同様に角を平面で落としていって、第三段階の面取りができた状態が写真6です。

写真6写真6

重要なのは、この小さい長方形が平面で、角が直線になっているということです。

最終的になだらかに各平面をつなげていくと、ネックの丸みが完成です。(写真7)

写真7写真7

これでネックの直線部分は完成となります。

同様に、ネックの上部(スクロールや糸巻箱につながる部分)も成形していきます。
やはり、中心部分を最終寸法になるように仕上げてから、角を落としていきます。(写真8)

写真8写真8

このときは、すでに完成した直線部分を傷つけることなく、直線からなだらかにつながるようなカーブになるように各面を仕上げていきます。

最終的に、このように仕上がりました。(写真9)

写真9写真9

ちなみにネックの下端は、私は胴体に接合してから仕上げています。

ちょうど、正方形から角を落としていって、正8角形、正16角形、正32角形というふうにして円に近づけるような感じですね。
しかしネックは円の一部ではなく、少しとがった三角おむすび形ですので、均等に角を落としていくわけにはいきません。

私は図面を描いて求める形状になるように各平面の幅や角度を決めております。(写真10)

写真10写真10

といっても、細かい凸凹を修正したり、ネックの滑らかさをみるのに、最終的には手の感触で仕上げているのですけどね・・・。

次回、関西弦楽器製作者協会展示会は2018年4月22日(日)です